この本はすばらしい。
理由は、これを読めばなぜ私たちはぼったくられるのかがスッキリ理解できるからだ。

書き出しからノックアウトされたこの本、
こう始まる
「私はこれまでの人生でぼったくられ続けてきた」
私達がぼったくられるのはお金だけではない。
時間も、そして「気持ち」も。
個人的にはこの「気持ちぼったくり」されやすい性質というものは特定の生育歴によるものだと思っていた。論理的でも理性的でもない厳格な躾で訓練されると。
この著者は心理学者、そして公言する「人生でどんな軽めのぼったくり技にもかかってきた」と。しかし、幼少期に軍隊のような家庭で育てられたなどという記述はまるでない。
1番驚いたのは、私たちがぼったくられる理由は、我々人類の進化の過程で種の繁栄を守るために「ぼったくられ癖」が埋め込まれているから、というもの。
さらに、興味をひくのは様々な生物の例、ぼったくられて命を落とすある種のホタルの例や、うまいこと騙されてしまう七面鳥のお母さんの例など、悲しいくらい身にしみる動物達の実験結果が著者の主張に厚みをもたせる。きっとカッコウのお母さんもそうなのではないか、今これを書きながら思ってさらに哀しい。
作者のいう「ぼったくり」の中にこんなものがあった。
ボーイスカウトの少年に近所で出会う話だ、寒い冬でも短パンでピチピチしている11歳がキラキラ目で挨拶してくる「おじさん、今度の土曜日の夜、僕らは年に一度のボーイスカウトサーカスをするんです。チケットを買ってもらえませんか?」
ボーイスカウトが大の苦手な著者がためらっていると、少年はこういいます、
「じゃあ、みんなで手作りで作ったこのチョコレートバーを買ってくれませんか?1つ1ドルです。」
この、チョコレートが大嫌いでムダ使いもしたくない心理学博士はどうしたと思いますか?
本にはこう書いてありました、
「気がつくと僕の手には世間の相場で考えると値段設定高すぎのチョコレートバーが握られている。
『なんで?なにが起きたん今? なんで僕食べられもしないチョコレート買ったん?それも2本も』」
そこに続く著者の考察の展開はさすが認知心理学のプロ、とてもわかりやすい。
ベストセラーになるはずですわ。
日本語版はこちら
ただし、私はこちらは読んでおりません
感想はあくまで英語版のものです。



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